QC(Quick Charge)クイックチャージとは

このページでは、ACアダプターにおけるQC(Quick Charge)クイックチャージについて詳細に解説をしております。スマホなどの小型電子デバイスへの急速な充電を可能とする便利な充電方式です。

QC(Quick Charge)クイックチャージって何?

クイックチャージとは、移動体通信の通信技術および半導体の設計開発を行う米国企業、クアルコム社が独自に開発したバッテリ充電のプロトコルで、主に電源と通信して電圧をネゴシエーションすることで、USB経由で供給される電力を管理するために使用されるものの事を指します。

クイックチャージは、主に携帯電話などの充電池駆動の小型電子機器を、基本的なUSB規格で認められている5.0V/2.0Aを超える定格で充電することを可能にする独自技術です。この手のACアダプターの急速充電方式の分野に関しては、Media tech社のPump Express方式や、Oppo社のVoop方式など、多数の企業が独自の競合技術を持っています。

このプロトコルは、クアルコム社のSoCを積んだ携帯電話デバイスをはじめ、様々なメーカーの急速充電システムにも採用されており、ウォールマウントタイプのACアダプターや、カーチャージャー等で見かけることができます。なお、デバイスと充電器の両方がQC充電方式をサポートしていないと、QC充電を行うことはできません。

QC(Quick Charge)クイックチャージの歴史

2012年、USB PDの公式発表

2012年、 ユニバーサル・シリアル・バス、つまりUSBやワイヤレスUSB、USB On-The-Go等の促進を目的として創設された非営利団体、USBインプリメンターズ・フォーラム(USB-IF)は、公式発表にてUSB Power Delivery(USB PD)規格が最終決定されたことをリリースし、機器がサポートされているUSBポートを介して最大100Wの電力を引き出せるようになりました。この画期的な新技術は、初めてXiaomi社のMi Mix 3のプロトタイプで採用され、17分で1%から100%までの急速充電を実現しました。

Quick Charge 1.0&2.0の登場

2013年に開発されたQuick Charge 1.0はクアルコム社のモバイルSoCシリーズであるスナップドラゴン 600のチップセットのみに対応していました。電圧はUSB (5V)標準に保たれていますが、電流は2 Aに設定、つまりBC 1.2.の電流よりも3分の1ほど高くされていました。

急速充電の新たなスタンダードとして実際に大変な人気を博した初めてのものがQuick Charge 2.0です。これは上記のスナップドラゴンの多くのバージョンをサポートしておりました。Quick Charge 1.0との主な違いは、電流を最大2 A までに制限し、電圧は最大12Vまで上昇するという点でした。この技術を開発した目的は当時USB とMicroUSB端子を繋ぐケーブルの多くが2.4 A 以上の電流に対応していなかったため、これに対処しないと、過熱事故につながる恐れがり大変危険だったためです。(熱損失は電流の大きさと抵抗の2乗に比例するため)。クアルコム社は従来と別の方法を選び、単に電圧のみが上がるようにした、というわけです。最終的に最大電力が最初のQC バージョンで10 W (5.0V/2.0A) だったのに対し、QC 2.0では18 W (12.0V/1.67A) となりました。

また、Dual Charge(当初はParallel Chargingと呼称されていた)と呼ばれるオプション機能が導入され、2つのPMICを使用して電源を2つの流れに分割することで、デバイスの温度を下げる施策も行われておりました。

Quick Charge 3.0の登場

2015年にはクアルコム社はQuick Charge 3.0を開発しました。基本的にはQuick Charge 2.0 と同様の技術を活用しており、Quick Charge 3.0と互換性のあるデバイスを使ってさらに急速な充電を実現可能にしています。

Quick Charge 3.0では、INOV(Intelligent Negotiation for Optimal Voltage)、バッテリーセーバ、HVDCP+(High Voltage Dedicated Charging Port)、オプションのDual Charge+が導入さました。INOVは、効率を最大化しながら最適な電力転送を判断するアルゴリズムです。バッテリーセーバーは、500回の充放電後にバッテリーの元の充電容量の最低でも80%を維持することを目標としています。。クアルコム社の発表では、Quick Charge 3.0は、Quick Charge 2.0と比較して最大4~6℃低温化、16%高速化、38%効率化され、さらにQuick Charge 3.0にDual Charge+を使用した場合は、Quick Charge 2.0にDual Chargeを使用した場合と比較して、最大7~8℃低温化、27%高速化、45%効率化されるとしています。

2750mAh のバッテリーを使用した実験では、Quick Charge 3.0を使用せずに従来のACアダプター(5.0V/1.0A) を使用した場合は、30分でわずか12%しか充電できませんでしたが、Quick Charge 3.0を使用すると、デバイスは35分間で0%から80%まで充電させることができました。Quick Charge 3.0はUSB タイプA、USBタイプC 、Micro USB、さらに専売接続部にも対応しています。

Quick Charge 4.0と4.0+の登場

クアルコム社は、2016年12月にQuick Charge 4.0と、スナップドラゴン 835を同時に発表しました。

Quick Charge 4は、HVDCP++、オプションのDual Charge++、INOV 3.0、Battery Saver Technologies 2を搭載。USBタイプCとUSB PDの両方の仕様に対応しており、ACアダプターまたは機器側のどちらかが対応していない場合は、USB PDへのフォールバックをサポートしています。さらに、過熱、過電圧、過電流から保護するための保護対策や、ケーブルの品質検出機能も追加しています。クアルコム社は、Dual Charge++を使用するQuick Charge 4は、Dual Charge+を使用するQuick Charge 3.0と比較して、最大5 °C低温下、20%高速化、30%効率化されていると発表しました。

その後、Quick Charge 4+は2017年6月1日に発表されました。クアルコム社は、自律的に温度の低い電流経路を使用し、ホットスポットを排除することで電力供給を最適化するIntelligent Thermal Balancing等の高度な安全機能を導入し、過熱や短絡、USBタイプCコネクタの損傷からの保護を実現しています。

最新のQuick Charge 5が登場

これまで、Quick Chargeの紹介を時系列で紹介してきましたが、2020年7月27日にQuick Charge 5が発表になりました。

まだまだ市場での普及は先になりそうですが、クアルコム社の発表によりますと、Quick Charge 5は、4500mAhのバッテリーを搭載したスマホで、最大100Wの電力を実現し、わずか5分で50%の充電が可能な規格とのことです。この規格はUSB PDとの相互互換性があり、またその技術はダブルセルを充電する際にACアダプターと通信し、電圧と電流値を2倍にすることができると発表しています。例えば、単一の電池には8.8Vの電力を要求します。デュアルセルはその後、PPS(Programmable Power Supply)の充電器に17.6Vを出力し、2つの個別のバッテリーに半分に分割し、合計5.6Aの電流を出力して100Wを達成することを求めることができるとのことです。

ユニファイブのQCチャージャー

コンパクトな形状のQC機能付きUSB PDのラインアップを続々追加しております。市販で流通しているコンシューマー向けの電源とは違い、当社は業務用での使用を想定した基準に基づいて設計をしております。サンプルや、製品についてご質問等がございましたら、お気軽に当社営業までお問い合わせをお願い致します。

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